理系凡人のつぶやき

科学に関することだけでなく興味があることについていろいろと書いていくつもりです。

STAP事件の顛末

こんなニュースが入ってきました。

headlines.yahoo.co.jp

理研によると、疑惑が発覚してから約1年間にかかった主な経費の内訳は、STAP細胞の有無を調べる検証実験1560万円▽研究室に残った試料の分析1410万円▽二つの調査委員会940万円▽記者会見場費など広報経費770万円など。弁護士経費など2820万円、精神科医の来所など関係者のメンタルケアに200万円を支出していた 

弁護士経費が思いのほか高くてびっくりしましたが、上の経費でまず必要ないのがSTAP細胞の有無を調べる検証実験」でしょうね。なにせ、そもそもSTAP細胞は存在せずに、ES細胞の混入で説明できるわけですから。早期に問題が決着していたならばその他の高額な経費はもっと少なくて済んだのかもしれません。このあたりは後手に回り続けた理研の対応に問題があったと思います。

なお、小保方氏にはNatureに支払った投稿料約60万円のみが請求され、「実験は行われており、研究そのものが無価値だったとはいえない」(有信睦弘:理研理事)として実験の費用返還は求められないようです(こちらのニュースより)。全額請求するのはさすがに難しいでしょう、そもそも支払い能力があるのかも疑問です。「研究そのものが無価値だったとはいえない」とのことですが、はっきりいって無価値だと思います。細胞を酸性条件に浸しても望む多能性幹細胞は出来ずに、その結果をでっち上げるためにES細胞を混入させたわけですから。去年の末に公表されたSTAP細胞に関する調査委員会の報告書によると、

論文の図表の元になるオリジナルデータ、特に小保方氏担当の分が、顕微鏡に取り付けたハードディスク内の画像を除きほとんど存在せず、「責任ある研究」の基盤が崩壊している問題である。最終的に論文の図表を作成したのは小保方氏なので、この責任は大部分、小保方氏に帰せられるものである。また、STAP幹細胞、FI幹細胞、キメラマウス、テラトーマなどについて、作製後の解析を行ったのも大部分が小保方氏だが、その実験記録もほとんど存在しない。本当に行われたか証拠がない(行われなかったという証拠もない)実験も、いくつか存在する(細胞増殖率測定、Oct4-GFPを持つFI幹細胞の作製など)。(下線は筆者)

とのこと。本当に無茶苦茶ですね。こんないい加減なことをしていた人物が第一線の研究者の目(若山氏や故笹井氏)をすり抜けて論文を出せたことには驚くしかありません。

今回のSTAP事件では捏造の首謀者と考えられる人物に対して約60万円の請求しかなされずに、しかも自主退職を理研側が認めるという結末を迎えました。私は研究不正に関して特に厳罰化を望んでいるわけではないのですが、正直これは軽すぎるのではないかと思います。