研究不正の定義
このブログで研究不正の話をいくつかしているので、ここで研究不正の定義について少し考えて見たいと思います。
英語では研究不正のことをミスコンダクト(Misconduct)と言い ます。日本では研究不正と言われることが多いですが、法律上の不正行為との誤解を与えかねないので日本学術会議などはミスコンダクトの呼称を使っているようです。(個人的には研究不正という言葉の方がしっくりくるのですがみなさんはどうでしょうか。)
主要なミスコンダクトは以下の3つ(略してFFPともいう)に分けられます。
- 捏造(Fabrication)
- 改ざん(偽造、Falsification)
- 盗用(剽窃、Plagiarism)
このほかの広い範囲での不適切な行為に対してどのように対処するかは国や機関によって異なります。具体的には
- 論文の多重投稿
- ギフトオーサーシップ
- 不適切な論文引用
などがFFP以外の不適切な行為として挙げられます
これらの定義はアメリカで議論されてきたものですが現在ではアメリカ以外の国にも取り入れられています。文部科学省や日本学術会議などの議論では狭い定義でのミスコンダクト(=FFP)を念頭に置いていることが多いようです。[1]
次の記事ではミスコンダクトについての私見を書いてみたいと思います。
[1]背信の科学者たち ウイリアム・ブロード、ニコラス・ウェイド著 牧野賢治訳 講談社 2014