理系凡人のつぶやき

科学に関することだけでなく興味があることについていろいろと書いていくつもりです。

「Publish or Perish」を読んでみた

 山崎茂明さんの 『Publish or Perish 科学者の発表倫理』(みすず書房、2007年)を読んでみた。

Publish or Perish=(論文を)発表するか死ぬか

という言葉は科学者以外の人たちにとってはあまり馴染みの無い言葉かもしれないが、現在の科学者が置かれている立場を分かりやすく(多少大げさに)表現している。この本ではPublish or Perishの起源やインパクトファクター(IF)、オーサーシップ(=論文の著者に誰をどの順番で載せるか)の問題点についてわかりやすく説明しており研究に携わる人はぜひとも読んでほしい一冊である。

 

 このような研究倫理に関する書籍を読んでみていつも思うのは大学や大学院などで公正な研究や研究倫理についての講義などがそれほど見られないことへの懸念である。講義などで教えられない以上、研究倫理は研究室の先輩や教員によって後輩へと伝えられていくのだろうがその倫理(=ローカルルール、伝統)が必ずしも正しいものであるかは不明瞭である(たとえばオーサーシップの誤用)。したがって、一度はきっちりと標準的な研究倫理について学ぶことが研究に携わる人間に重要であり、 どんな人間でも不正は起こし得る」ということを肝に銘じておく必要があるのだろう。