理系凡人のつぶやき

科学に関することだけでなく興味があることについていろいろと書いていくつもりです。

『小保方証言』STAP問題の真相

こんなニュースが入ってきました。

理研が公表した最終報告書には書かれていない調査委員会に対する小保方氏の証言が紹介されており、非常に興味深いです。この記事によると小保方氏や笹井氏がSTAP細胞が存在する根拠としていた「緑色に光る細胞」について、小保方氏がSTAP細胞存在の根拠にはならないものだということに気づいていた可能性が示唆されています。

STAP事件の時系列を簡単に整理すると

  • 2014年1月 STAP細胞に関する論文2報 (Nature)が発表される
  •   3月 若山氏が論文の撤回を呼びかける
  •   4月 理研調査委員会による不正認定→小保方氏による会見(STAP細胞はありま            す、200回以上成功している)
  •   7月 論文が撤回される
  • 12月   STAP細胞ES細胞もしくはES細胞の混入で説明できると結論付けられる

4月の会見では緑色に光る細胞が自家蛍光ではないことを確認していると小保方氏は回答していたわけですが、その7ヶ月の調査委員会の場では次のような回答をしています。

委員「死んだ細胞が光ったっていうの(=自家蛍光)と、色で区別されていました?緑以外の光が出ているかどうか」
小保方氏「私、それ、すごく今では甘かったなと思うんですけれども(中略)赤ちゃんのマウスでやったら光ったんですね。結構。で、もう私それがもう嬉しくて、本当に嬉しかったんですよ。なので、あんまりそれが、自家蛍光なんじゃないかとか、そこまでは思ってなかったんです。正直
委員「でも、スペクトル調べれば簡単に分かりますね?」
小保方氏「そうなんですよね。それをやれば良かったんですけど」
委員「やってなかった」
小保方氏「はい。やってなかった。それにライブセルイメージングでやったときに(中略)少し死細胞が入っていることは、まあ分かっていたといえば分かっていたので、まあそういう、あまり死んだ細胞の自家蛍光っていうことに関しては、正直
委員「気にしてない?」
小保方氏「あの、甘かったと思って」 (下線はmichikusakagaku)

 4月の会見の時には自家蛍光ではないと確認したと言っておきながら、この時には自家蛍光のことを当時さほど気にしていなかった(=確認しなかった)ことを認めています。

 

「STAP細胞はあるはずだ」という認識で、論文不正問題に取り組んだことが、対応の遅れを招き、理研の傷口を大きくした最大の要因になったと考えられる。  

この点に関してはどうなんでしょうか。小保方さんがどう言おうと「緑に光る細胞」が自家蛍光によるものではないかと考えていた研究者はいたでしょう。「STAP細胞はあるはずだ」ではなく「ここまで来た以上STAP細胞がないと困る、今更ないとは言えない」というスタンスが理研関係者の間にあったのが問題だったのではないかと思います。

 

一連の理研の記者会見を見ていたある研究者は「理研の対応は科学者の立場から見ても理解できるものではない。理研はまだ何かを隠そうとしているように思えてしかたがない」と諦め顔でつぶやいた。

理研としてはSTAPをもうなかったことにしてしまいたいんでしょうね。先日野依理事長が辞職を発表した時も「STAPの引責ではない」と言ってましたし、すでに死者も出ていることもあって結局事件の詳細は藪の中ということになりそうです。

 

また、別の海外の研究機関に所属する研究者は「日本では研究不正はノーリスクハイリターンだということを改めて確認できた」と話した。

アカハラパワハラもそうですが基本的にノーリスクハイリターンだからなくならないんだよなあと感じました。 この辺りは文科省なり研究機関なりがきっちり罰則を含めた対策を講じていくしかないでしょう。最後の一節は研究に関わる人なら肝に銘じておいて欲しい言葉です。

STAP細胞問題は、理研の、そして日本の科学の信頼性を揺るがした。失った信頼を再び取り戻すためには、徹底的に原因を追及し、それを広く社会に説明していくことが求められている。それができてこそ本当に有効な再発防止策が実現するはずだ。
真相の解明に手を抜くと、再び深刻な研究不正という形で跳ね返ってくることを私たちは忘れてはならない。